バイク保険の比較をしようと検索したのに、出てくるのは「一括見積もりはこちら」ばかりで、結局どこをどう比べればいいのか分からない。そんな状態で止まっているライダーは少なくありません。SR400やXSR900のような250ccを超える車体だと、自動車保険のファミリーバイク特約は使えないので、単独のバイク保険を自分で選ぶしかありません。
結論から言うと、バイク保険の比較は「自賠責保険」と「任意保険」を完全に分けて考えるのが最短ルートです。自賠責は国が決めた料率なのでどこで入っても金額は同じ、比べるのは契約年数だけ。任意保険は会社ごとに補償もロードサービスも割引も違うので、ここで初めて「比較」という作業が発生します。
この記事では、損害保険料率算出機構の基準料率表から2026年11月1日に変わる自賠責の新旧料金を排気量別に並べ、そのうえで任意保険を扱う主要7社を補償・ロードサービス・割引の3軸で横並びにしました。125cc以下ならファミリーバイク特約という第3の選択肢もあるので、そちらの損得も含めて整理していきます。
・自賠責保険料は2026年11月1日始期の契約から改定される(小型二輪の12か月契約は7,010円→7,730円)
・任意保険で比べるのは保険料・ロードサービスのレッカー距離・割引の3点
・ダイレクト型のネット割引は最大12,000円、代理店型は事故対応の人手で選ぶ
・125cc以下はファミリーバイク特約が使えるが、等級は1年たっても貯まらない
バイク保険の比較は「自賠責」と「任意」を切り分けるところから

自賠責が払うのは相手のケガだけ|限度額120万円の中身
自賠責保険で支払われるのは、事故の相手方の人身損害だけです。自分のケガも、自分のバイクの修理代も、相手のクルマやガードレールの修理代も、いっさい出ません。ここを勘違いしたまま走っているライダーが実際にいます。
国土交通省が公表している支払限度額は、被害者1名につき傷害による損害が120万円、死亡による損害が3,000万円、後遺障害は常時介護を要する第1級で4,000万円、第14級で75万円です。死亡時の内訳を見ると葬儀費が100万円、被害者本人の慰謝料が400万円と決まっており、遺族慰謝料が550万円〜750万円、被扶養者がいればさらに200万円が加算されます。
問題は傷害の120万円という枠です。骨折して数週間入院し、リハビリで数か月通院すると、治療費と休業損害と慰謝料の合計はこの枠をあっさり超えます。超えた分は加害者が自腹で払うことになります。通勤で毎日国道を走る人ほど、この枠の小ささは現実的なリスクになります。
注意点として、自賠責は「加入していれば安心」という性質のものではなく、被害者救済のための最低ラインだという点です。任意保険に入っていない状態で対物事故を起こすと、相手の車両修理費は全額自己負担になります。
自賠責が切れた状態で公道を走ると、自動車損害賠償保障法違反として1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金、さらに違反点数6点で即座に免許停止処分になります。自賠責保険証明書の不携帯だけでも30万円以下の罰金です。車検のない250cc以下は自分で満期を管理するしかないので、ステッカーの年月を月イチで見る習慣をつけてください。
任意保険が埋めるのは物損・自分のケガ・弁護士費用の3つ
任意保険の役割は、自賠責が対象外にしている領域を埋めることです。大きく分けて、相手の物への賠償(対物賠償)、自分と同乗者のケガ(人身傷害・搭乗者傷害)、示談交渉で弁護士を立てる費用(弁護士費用特約)の3つになります。
対物賠償は無制限で契約するのが標準です。三井住友海上の商品紹介ページでも、基本補償の例として対人賠償無制限・対物賠償無制限(免責金額なし)・人身傷害保険3,000万円という組み合わせが示されています。無制限にしても保険料は数千円しか変わらないのに、外車や店舗への突っ込み事故では請求額が青天井になるため、ここを削る意味はほとんどありません。
人身傷害は、自分の過失割合に関係なく治療費や休業損害が実額で支払われる補償です。バイクは事故の際に体が投げ出される乗り物なので、四輪よりも自分のケガの補償を厚くする発想が必要になります。ツーリング先で単独転倒した場合も対象になります。
ただし弁護士費用特約は、付けているのに使い方を知らないライダーが多い補償でもあります。相手が任意保険に入っていない、または過失割合で揉めているときに使うもので、この特約だけを使った場合はノーカウント事故として扱われ、翌年も等級は1つ上がります。
二輪の任意保険加入率は44.9%|半分は自賠責だけで走っている
損害保険料率算出機構の統計をもとにした集計では、二輪車の対人賠償の加入率は44.9%、対物賠償は46.9%です。自家用乗用車が共済を含めて約90.2%であることを考えると、街ですれ違うバイクの半分以上は任意保険に入っていない計算になります。
この数字は自分が加害者になる側の話だけではありません。自分が被害者になったとき、相手が無保険である確率が半分近くあるということです。だからこそバイク保険では、無保険車傷害保険や人身傷害の設定が四輪以上に効いてきます。アクサダイレクトのバイク保険では、無保険車傷害保険が自動セットの基本補償に含まれています。
保険料の水準も見ておきましょう。三井ダイレクト損保が公表している業界全体の平均保険料は、2023年度で二輪車が年額27,839円(月額換算2,319円)、原付が年額18,822円(月額換算1,568円)です。月2,000円台なら、ガソリン代1回分から2回分で対物無制限が買えることになります。
注意したいのは、この平均値には20代の高い保険料も50代の安い保険料も混ざっている点です。自分の等級や年齢が平均から離れていれば、見積もり額はこの数字から大きくずれます。平均はあくまで相場感の目安として使ってください。
2026年11月1日から自賠責保険料が変わる|排気量別の新旧早見表
まず自分のバイクがどの料率区分かを確定させる
自賠責の料金は排気量で3つ(+新設の特定小型原付)に分かれています。125cc以下が原動機付自転車、125cc超250cc以下が軽二輪(軽自動車の検査対象外車)、250cc超が小型二輪です。SR400は399ccなので小型二輪、XSR900は890ccなのでこちらも小型二輪の区分になります。
この区分けが重要なのは、料金だけでなく契約できる期間も変わるからです。250cc超は車検があるため契約期間は車検期間に合わせるのが基本で、最長でも37か月前後。250cc以下は車検がないので、12か月・24か月・36か月・60か月から自由に選べます。
使う場面としては、車検切れ間際のSRなら「車検残に合わせた月数」、車検のないXSR以外の250ccクラスなら「60か月一括で満期管理を楽にする」といった判断になります。特に250cc以下は自分で満期を覚えておかないと切れるので、長期契約は事故防止の意味もあります。
注意点は、離島や沖縄県では基準料率が別に定められていることです。以下に挙げる金額はすべて「離島以外の地域(沖縄県を除く)」に適用される基準料率で、沖縄県内で登録する場合は損害保険料率算出機構の基準料率表で該当ページを確認する必要があります。
現行料率(2026年10月31日以前始期)の早見表
現在適用されている基準料率は、2024年4月1日以降2026年10月31日以前に保険期間の始期を有する契約に使われます。つまり、この記事を読んでいる時点で更新するなら、10月中に始期を置けばこちらの金額です。
| 区分 | 12か月 | 24か月 | 36か月 | 60か月 |
|---|---|---|---|---|
| 原付(125cc以下) | 6,910円 | 8,560円 | 10,170円 | 13,310円 |
| 軽二輪(125cc超250cc以下) | 7,100円 | 8,920円 | 10,710円 | 14,200円 |
| 小型二輪(250cc超) | 7,010円 | 8,760円 | 10,490円 | - |
| 特定小型原付 | 6,650円 | 8,040円 | 9,400円 | 12,040円 |
小型二輪の60か月契約が空欄なのは、250cc超には車検があるため60か月の契約設定がないからです。SR400やXSR900で長期契約を組みたくても、そこは車検サイクルに縛られます。
この表を見て「250ccの軽二輪のほうが400ccより高いのはなぜ」と思った人がいるかもしれません。自賠責の料率は排気量の大きさではなく、区分ごとの事故実績と契約期間の刻み方で決まっているためで、必ずしも排気量に比例しません。
2026年11月1日以降の新料率|13年ぶりの引き上げ
損害保険料率算出機構は2026年4月30日に金融庁長官へ届け出を行い、2026年5月21日に適合性審査が終了しています。この改定は2026年11月1日以降に保険期間の始期を有する保険契約に適用され、全車種平均で6.2%の引き上げです。理由は、契約の事務処理や損害調査に充てられる社費・代理店手数料の上昇と、保険金支払いに充てられる純保険料率の引き上げの2点とされています。
| 区分 | 12か月 | 24か月 | 36か月 | 60か月 |
|---|---|---|---|---|
| 原付(125cc以下) | 7,730円 | 9,630円 | 11,480円 | 15,030円 |
| 軽二輪(125cc超250cc以下) | 7,800円 | 9,780円 | 11,700円 | 15,370円 |
| 小型二輪(250cc超) | 7,730円 | 9,640円 | 11,510円 | - |
| 特定小型原付 | 7,430円 | 9,040円 | 10,610円 | 13,620円 |
36か月契約はどの区分も1万円台に乗ります。原付は10,170円から11,480円へ、軽二輪は10,710円から11,700円へ、小型二輪は10,490円から11,510円へ。60か月契約で見ると原付は13,310円から15,030円、軽二輪は14,200円から15,370円になります。
使い方としては、250cc以下で満期が2026年10月中に来る人は、その月のうちに継続手続きを済ませて始期を10月に置くのが素直な判断です。長期契約に切り替えるなら、値上げ前の料率でまとめて確保できます。
失敗パターン①:申込日で判断して数千円損する
実際に起きやすいのが、「10月中に申し込んだから旧料金のはず」と思い込んで、始期を11月に設定してしまうケースです。適用料率を決めるのは申込日ではなく保険始期日なので、10月に窓口へ行っても始期が11月1日以降なら新料率が適用されます。
原因は、自賠責が「継続手続きは満期日から始期がつながる」仕組みだと知らないことにあります。対策はシンプルで、コンビニや販売店の端末で手続きするときに、控えの「保険期間 始期」の欄を自分の目で確認することです。ここが10月31日以前になっていれば旧料率です。
もうひとつの落とし穴が、満期日をまたいで数日空けてしまうパターンです。数日でも空白があればその期間は無保険運行になり、前述の罰則の対象になります。ステッカーの年月と証明書の始期・満期を、更新のたびにスマホで撮っておくと確実です。
なお自賠責は途中解約時に月割で戻る仕組みがありますが、廃車や譲渡など理由が限られます。単に「長く契約しすぎたから返して」は通りません。長期契約を選ぶときは、そのバイクを何年持つ予定かを踏まえて決めてください。

任意保険はどこで差がつくのか|ダイレクト型と代理店型の分かれ道

ダイレクト型は割引が現金で効く|最大12,000円の内訳
ダイレクト型(通販型)の強みは、代理店手数料が乗らない分と、ネット手続きの割引が保険料から直接引かれる点です。アクサダイレクトのバイク保険はインターネット割引が最大10,000円、無事故割引が2,000円で、合計最大12,000円の割引になります。ほかにEV割引1,500円、お客様ページ複数契約割引1,000円、証券不発行割引240円が用意されています。
チューリッヒのバイク保険はインターネット割引が最大10,000円、電子領収書割引が500円、LINE連携割引が500円で、ネット手続きの割引合計は最大11,000円です。三井ダイレクト損保はインターネット契約割引3,000円とeサービス(証券不発行)割引500円で合計最大3,500円と、割引の設計思想が会社ごとに違います。
使う場面としては、日中に電話をかける時間が取りづらい人、見積もりを自分で複数取って比べたい人に向きます。手続きはスマホで完結し、証券を紙で受け取らない選択をすれば割引も上乗せされます。
注意点は、この割引額が「初年度のネット新規契約時」を前提にしていることが多く、継続契約では条件や金額が変わる場合があることです。表示されている最大額がそのまま毎年引かれるわけではないので、見積もり画面の内訳を必ず開いて確認してください。
代理店型は事故のあとの人手で選ぶ
代理店型の価値は、保険料の安さではなく事故対応の物量にあります。東京海上日動は全国37,000店の代理店網に加え、国内約194の損害サービス拠点と約10,600名のスタッフを配置し、事故受付は24時間365日体制です。三井住友海上は国内ロードサービス拠点が約3,900か所と案内しています。
この違いが効くのは、過失割合で相手と揉めたときや、相手が保険を使いたがらないときです。担当者が付いて経過を電話で説明してくれる体制は、初めて人身事故の当事者になったライダーにとって実務的な支えになります。バイクは四輪より過失割合の争いになりやすい乗り物です。
オリコン顧客満足度ランキング2026では、代理店型で東京海上日動が総合1位(77.3点)で3年連続、ダイレクト型ではチューリッヒが総合1位(77.4点)で2年連続、三井ダイレクト損保が2位(76.4点)、アクサ損害保険が3位(76.3点)という結果でした。
デメリットは保険料です。同じ補償内容ならダイレクト型のほうが安く出るのが一般的で、その差を「事故対応の安心料」として払えるかどうかの判断になります。年に1回しか乗らないセカンドバイクにまで代理店型を選ぶ必要はありません。
| ダイレクト型が向く人 | 代理店型が向く人 |
|---|---|
| 保険料をできるだけ抑えたい 見積もりを自分で複数取れる 補償内容を自分で選べる ネット手続きが苦にならない | 事故対応を人に任せたい 四輪と同じ会社で管理したい 補償の組み方を相談したい 初めて任意保険に入る |
ソニー損保はバイク保険から撤退|四輪と同じ会社で揃わないことがある
意外と知られていませんが、四輪で契約している会社がバイク保険も扱っているとは限りません。ソニー損保は公式FAQで「当社は、バイク保険の取扱いを終了いたしました。」と明記しており、現在は125cc以下を対象としたファミリーバイク特約のみの対応です。
つまり四輪をソニー損保で契約しているSR400乗りは、バイクだけ別の会社に入るしかありません。等級も、バイクと自動車のあいだでは引き継げないので、バイク側は6等級からのスタートになります。
この事実を知らずに「四輪と同じところでまとめよう」と考えて時間を使うより、最初からバイク保険を扱う会社だけをリストアップしたほうが早い、というのが実務的な結論です。ダイレクト型ならチューリッヒ・アクサダイレクト・三井ダイレクト損保、代理店型なら東京海上日動・損保ジャパン・三井住友海上・日新火災あたりが候補になります。
注意点として、会社によって引受対象の排気量区分が違います。三井ダイレクト損保は総排気量50cc超125cc以下の側車付二輪自動車を引受対象外としており、サイドカー付きの車体は事前確認が必要です。
見積もりは同じ条件で3社取る|比較がずれる3つの原因
比較の精度を落とす原因はほぼ3つに集約されます。1つ目は人身傷害の設定金額が会社ごとに違うこと、2つ目は年齢条件の刻み方が違うこと、3つ目は年間走行距離の申告区分が違うことです。
三井ダイレクト損保の年齢条件は、125cc以下が「年齢不問/21歳以上」の2区分、125cc超が「年齢不問/21歳以上/26歳以上」の3区分です。アクサダイレクトの排気量区分は50cc以下/51cc〜125cc/126cc〜250cc/251cc〜400cc/401cc以上の5区分で、SR400は251cc〜400cc、XSR900は401cc以上に入ります。
実務としては、「対人無制限・対物無制限・人身傷害3,000万円・弁護士費用特約あり・年間走行距離2,001〜3,000km」のように条件を紙に書き出してから、3社の見積もり画面に同じ数字を入れていくのが確実です。条件を固定しないと、安く見えた会社が単に補償を削っているだけということが起こります。
デメリットは単純に手間で、1社あたり10分前後かかります。ただし年間で数千円から1万円台の差が出ることを考えれば、30分の作業としては割に合う部類です。
主要7社の補償・ロードサービス・割引を横並びで見る
バイク乗りのミーティング調べ|7社の比較表
各社の公式サイトに記載されている内容を、同じ項目で並べ直したのが次の表です。保険料そのものは条件で大きく変わるため、ここでは金額が確定して公表されている割引額とロードサービスの仕様を軸にしています。
| 会社 | 形態 | ネット系割引 | 無料レッカー距離 |
|---|---|---|---|
| チューリッヒ | ダイレクト | 最大11,000円 | 最大100km |
| アクサダイレクト | ダイレクト | 最大12,000円 | 指定工場なら無制限 |
| 三井ダイレクト損保 | ダイレクト | 最大3,500円 | 100km限度 |
| 東京海上日動 | 代理店 | - | 公式で個別案内 |
| 損保ジャパン | 代理店 | Web証券割引240円 | 公式で個別案内 |
| 三井住友海上 | 代理店 | - | 拠点約3,900か所 |
| 日新火災 | 代理店 | - | 費用補償特約を自動セット |
この表で読み取ってほしいのは、割引額が大きい会社とレッカー距離が長い会社が必ずしも一致しないという点です。アクサダイレクトは両方に強い一方、三井ダイレクト損保は割引額が控えめでもロードサービスの費用補償が細かく決まっています。
ロードサービスはレッカー距離と費用限度で差がつく
ツーリング中の故障で本当に効くのは、割引額よりロードサービスの中身です。三井ダイレクト損保は希望の修理工場まで100km限度(実走距離)でけん引し、宿泊費用は1事故1名あたり1泊1万円まで、帰宅費用は1事故1名あたり2万円まで、車両搬送費用は1事故10万円まで補償されます。拠点は全国約3,600か所で24時間365日対応です。
アクサダイレクトは全契約にAXAプレミアムロードサービスが無料付帯し、全国10,813拠点で対応。無料レッカー距離はロードサービスセンター指定の修理工場なら距離無制限、自分で指定した修理工場なら100kmです。チューリッヒはレッカー最大100kmで、バッテリー上がり・ガス欠・タイヤ交換・オイル補充にも対応します。
この差が現実になるのは、自宅から200km以上離れた峠でエンジンがかからなくなったときです。100km限度なら残りは自腹、指定工場まで無制限なら追加費用は発生しません。SR400のようにキック始動が絡む車体だと、バッテリーやプラグ由来のトラブルで動けなくなるケースは想定しておいたほうが安全です。
注意点として、無料距離の起点は「レッカー開始地点から」であり、自宅からの距離ではありません。また、三井ダイレクト損保はロードサービスのみの利用ではノンフリート等級がダウンしないと明記していますが、この扱いは会社ごとに確認が必要です。
割引はネット・無事故・複数台の3系統で考える
割引は大きく3系統に分かれます。ネット手続き系(インターネット割引・証券不発行)、事故歴系(無事故割引・長期無事故割引・ゴールド免許割引)、台数系(複数台契約・セカンドカー割引)です。
台数系は代理店型が強い領域です。損保ジャパンの複数所有新規契約(セカンドカー割引)は7(S)等級が適用され、割引率は38%。ノンフリート多数割引は2台で3%、3台以上5台以下で4%、6台以上で6%です。SRとXSRの2台持ちや、四輪+バイクの組み合わせなら効いてきます。
ダイレクト型では、アクサダイレクトの無事故割引2,000円やお客様ページ複数契約割引1,000円、三井ダイレクト損保の継続割引・ゴールド免許割引がこれにあたります。単発の割引額は小さくても、積み上げると年間で数千円の差になります。
ただし割引を追いかけて補償を削るのは本末転倒です。対物を無制限から1,000万円に落としたり、人身傷害を外したりすれば保険料は下がりますが、事故のときに手元から出ていく金額はその何十倍にもなり得ます。削るなら車両保険や搭乗者傷害の側から検討してください。
失敗パターン②:保険料の安さで選んでレッカー距離が足りなかった
よくあるのが、年間3,000円安い見積もりに飛びついた結果、無料レッカーが100km限度の契約になり、遠征先のトラブルで超過分を自腹で払ったというパターンです。長距離ツーリング派ほど、この設計ミスの損失が大きくなります。
原因は、比較表の「保険料」の列だけを見て、「ロードサービス」の列を読み飛ばすことにあります。ロードサービスは保険金の支払いとは別建てのサービスなので、見積もり画面では目立たない場所に置かれがちです。
対策は、見積もりを取る前に「自宅から片道どのくらい走るか」を決めておくことです。日帰り100km圏内が中心なら100km限度で足りますし、年に数回でも300km以上の遠征をするなら、指定工場まで距離無制限のタイプか、車両搬送費用の限度額が高いタイプを選ぶ判断になります。
もうひとつ、宿泊費用や帰宅費用の限度額も確認してください。三井ダイレクト損保のように1泊1万円まで・帰宅費用2万円までと数字が公表されている会社は、動けなくなった夜の行動計画が立てやすくなります。
125cc以下ならファミリーバイク特約という第3の選択肢

人身傷害型と自損傷害型|自分のケガの扱いが違う
ファミリーバイク特約は、自動車保険にセットする特約で、125cc以下のバイクの事故を補償します。おとなの自動車保険の説明では、人身傷害型は相手方への対人・対物の補償に加えて、事故の形態を問わず自分のケガを実損害額で補償します。
一方の自損傷害型は、相手方への補償は同じですが、自分のケガについては相手がいない単独事故や、相手に過失がなく自賠責などで補償を受けられない場合に定額で支払われます。相手に過失がある事故での自分のケガは、相手の保険へ別途請求する流れになります。
使い分けの目安はシンプルで、通勤で毎日原付に乗るなら人身傷害型、月に数回の買い物利用なら自損傷害型でも実害は小さい、という判断になります。保険料は人身傷害型のほうが高くなります。
注意点は、どちらのタイプでもバイク本体の修理代(車両保険)は補償されないことです。転倒してカウルを割っても自腹です。原付でもカスタムに手を入れているなら、この点は割り切りが必要になります。
台数無制限・借りたバイクもOKという守備範囲の広さ
ファミリーバイク特約の守備範囲は、単独のバイク保険にはない広さがあります。対象車両は総排気量125cc以下の二輪車と、総排気量50cc以下の三輪以上の車。おとなの自動車保険では電動キックボードでの事故も対象と案内されています。
家族構成で効くのは、大学生の子どもが原付に乗り始めたケースです。単独のバイク保険なら若年層の保険料は高くなりますが、ファミリーバイク特約なら親の自動車保険の年齢条件に関係なく補償されます。ここは金額差が大きく出るポイントです。
実際の使い方としては、四輪の保険を継続するタイミングで特約を追加するだけです。手続きは1回で済み、原付を買い替えても車両を特定しない補償なので、届け出のやり直しも基本的に不要です。
注意点は、この特約が「自動車保険を持っている人」の選択肢だということです。四輪を持っていない、または四輪の保険を解約した瞬間に、原付の補償も同時に消えます。クルマを手放す予定があるなら、その時点で単独のバイク保険に切り替える必要があります。
等級が貯まらない|将来250cc以上に乗り換えるなら不利になる
ファミリーバイク特約の最大の弱点は、等級が貯まらないことです。特約は自動車保険の一部なので、バイク側のノンフリート等級は発生せず、単独のバイク保険に切り替えても引き継げません。
これが効いてくるのは、原付から250cc超へステップアップするときです。125cc以下と125cc超のあいだでは等級を引き継げないルールがあるうえ、そもそも特約で走ってきた期間は等級として残っていないため、SR400やXSR900に乗り換えた時点で6等級(13%割引)からのスタートになります。
逆に言えば、いま原付に乗っていて数年以内に中型・大型へ行く予定があるなら、あえて単独のバイク保険で等級を育てておくという考え方も成立します。ただし125cc以下で育てた等級も125cc超へは引き継げないため、この戦略が効くのは同じ排気量区分で乗り換える場合に限られます。
コストで割り切るなら、原付1台で今後もそのまま乗るなら特約、複数台持ちや将来の乗り換えが見えているなら単独契約、という線引きになります。どちらが安いかは四輪の保険料と一緒に見積もらないと判断できません。
保険料が決まる仕組みを知ると比較が一気に速くなる
等級は6等級スタート、上限の20等級で63%割引
バイク保険の保険料は1等級から20等級のノンフリート等級制度で大きく動きます。新規加入時は6等級からのスタートで、1年間無事故なら翌年1等級アップ。20等級まで上がれば63%割引になります。
割引率の刻みを見ると、6等級が13%割引、7等級が27%割引、8等級が38%割引と序盤の伸びが大きく、そこから12等級50%割引、16等級54%割引、20等級63%割引と緩やかになります。逆方向では4等級が7%割増、3等級が38%割増、2等級が63%割増、1等級が108%割増です。
この構造から分かるのは、加入して最初の3年で保険料が一段落ちるということです。「若いうちは高いから」と数年空けてしまうと、その分だけ割引が始まる時期が後ろにずれます。20代のうちに入っておくメリットはここにあります。
注意点は事故を起こしたときの戻り方です。等級が下がるだけでなく「事故有係数適用期間」が設定され、同じ等級でも割引率が低い料率が数年間適用されます。1回の事故で数年分の割引が消える計算になるため、少額の物損で保険を使うかどうかは慎重に判断してください。
年齢条件と免許証の色でこれだけ変わる
三井ダイレクト損保が公表している年代別の保険料例を並べると、条件による差がはっきり見えます。20代(6等級・ゴールド免許・125cc以下・年間走行距離2,001〜3,000km)で年払23,930円・月払2,150円、30代(20等級・ゴールド免許・250cc以下・同距離)で年払20,530円・月払1,840円。
40代(20等級・ゴールド免許・250cc超・同距離)は年払19,300円・月払1,730円、50代(同条件)は年払19,140円・月払1,720円です。等級と年齢が上がると、排気量が大きくなっても保険料は下がっていくことが読み取れます。
免許証の色は、ゴールドが最も安く、ブルー・グリーンはそれより高くなります。年齢条件の設定は、125cc以下が「年齢不問/21歳以上」、125cc超が「年齢不問/21歳以上/26歳以上」の区分です。自分より若い人に貸す予定がないなら、条件を絞るほど保険料は下がります。
注意点は、条件を絞りすぎると「たまに息子に乗らせる」といった使い方ができなくなることです。年齢条件を外れた人が運転して事故を起こすと補償されません。家族で共有するバイクは、実際に乗る可能性がある人の年齢に合わせてください。
使用目的の3区分は正直に申告する
使用目的は業務使用・通勤通学使用・日常レジャー使用の3区分で、日常レジャー使用が最も安くなります。走行距離が短いほどリスクが低いと評価されるためで、週末しか乗らないSRなら日常レジャー区分に収まります。
ここで安さ目当てに実態と違う申告をすると、告知義務違反として保険金が支払われない可能性があります。毎日通勤で使っているのに日常レジャーで契約していた場合、通勤中の事故で揉めることになります。
実務的な線引きは、「年間を通じて月に○日以上、通勤・通学に使うか」で判断する会社が多く、この日数は会社ごとに違います。曖昧なら通勤・通学で申告しておくほうが安全です。差額は年間で数千円程度に収まることがほとんどです。
年間走行距離の申告も同じ考え方です。区分を1つ下げると保険料は下がりますが、超過したときの扱いは会社によって違います。ツーリングでまとまった距離を走る人は、余裕を持った区分を選んでおいてください。
排気量区分をまたぐと等級を引き継げない
等級の引き継ぎには明確なルールがあります。保険会社を変えても、契約するバイクを変えても等級は引き継げますが、125cc以下と125cc超のあいだ、そしてバイクと自動車のあいだでは引き継げません。
この壁が実際に効くのは、原付二種で数年かけて育てた等級を持ってSR400に乗り換えるときです。125ccのPCXで12等級まで育てても、399ccのSRに移る時点で6等級に戻ります。心情的には納得しづらいところですが、制度上こうなっています。
対策としては、乗り換え前に原付二種を残したまま2台持ちにして、SR側を新規で6等級から育て始める方法があります。損保ジャパンの複数所有新規契約なら7(S)等級・38%割引が適用されるため、完全な新規よりは有利にスタートできます。
注意点は、2台持ちの維持費が増えることです。自賠責も任意保険も2台分かかるので、等級を守るためだけに1台残すのが得かどうかは、年間の保険料差と維持費を並べて計算してから決めてください。
意外と知られていないのですが、弁護士費用特約だけを使った場合はノーカウント事故として扱われ、翌年も等級は1つ上がります。相手が無保険で示談が進まないときや、過失割合で押し切られそうなときは、等級を気にせず使える補償です。二輪の任意保険加入率が44.9%という現実を考えると、この特約はバイク乗りにとって優先度の高い選択肢になります。
SR・XSR乗りが見落としがちな盗難とカスタムパーツの扱い
車両保険と盗難補償は別物として設計されている
任意保険の車両保険は、事故で自分のバイクが壊れたときの修理費を補償するものです。ところがバイクの世界では、車両保険を扱う会社自体が限られ、扱っていても盗難が補償対象に含まれないことがあります。ここが四輪と大きく違う点です。
日新火災の「おとなのためのバイク保険」は、盗難補償・事故補償・ロードサービス費用補償特約の3本柱で設計された商品で、盗難補償の保険金額の例は100万円、自己負担額は5万円(全損の場合は自己負担額なし)です。引受条件は35歳以上が対象で、公式の例では運転者年齢条件35歳以上限定となっています。
使う場面としては、青空駐車のSR400やXSR900を持っている人、通勤で駅前に停める人です。バイクは四輪と違って人力で持ち上げられてしまうため、施錠していても運ばれるリスクがあります。
注意点は支払い条件です。日新火災の盗難補償はエンジンキーおよびホイールロックのいずれも施錠されている状態で盗難された場合に限定され、パーツだけが盗まれた場合は対象外です。ロックをかけずに停めていた盗難は補償されません。

駐輪場に戻ったら、さっきまで確かにそこにあったはずの愛車がない。ガレージのシャッターが開いていて、チェーンだけが切られて転がっている。バイク乗りにとって、これ以…
カスタムパーツは補償対象になりにくい
SR400やXSR900のオーナーが必ず引っかかるのが、社外パーツの扱いです。マフラー・シート・ハンドル・ホイールなど、車両価格を超えるほど手を入れているケースは珍しくありませんが、保険上の車両価格は原則として同型・同年式の市場価格で評価されます。
つまり、車体の相場を上回るほどパーツに投資していても、盗難や全損時に返ってくるのは車両としての評価額が上限になるのが一般的です。パーツ単体の盗難については、日新火災のように明確に対象外としている商品もあります。
対策としては、加入前に「装着済み社外パーツを評価額に含められるか」を確認することです。会社によっては申告と証憑(購入時の領収書や取り付け明細)の提出で一定額まで加算できる場合があります。取り付け時の書類はすべて保管しておいてください。
デメリットとして、パーツを含めて評価額を上げれば保険料も上がります。カスタム総額と年間保険料の増分を並べて、どこまで保険で守り、どこからは防犯装備で守るかを決める作業になります。

実は保険を比べる前に決めるべきは「対物無制限」かどうか
比較サイトを何時間眺めても決まらない人に共通しているのは、補償の優先順位が決まっていないことです。実は、会社を比べる前に決めるべきことは1つしかありません。対物賠償を無制限にするかどうかです。
ここを無制限で固定してしまえば、あとは各社の見積もりが同じ土俵に乗ります。逆に対物を1,000万円や3,000万円で見積もった会社と無制限で見積もった会社を並べても、安く見えたほうが単に補償が薄いだけ、という結論になりがちです。
バイクの対物事故は、金額が読めない類型が多いのが特徴です。信号待ちの高級車に追突する、店舗のシャッターに突っ込む、線路脇のフェンスを壊して電車を止める。どれも数百万円から数千万円の請求になり得ます。三井住友海上が基本補償の例として対物賠償無制限(免責金額なし)を示しているのも、この読めなさが理由です。
注意点は、無制限にしても保険料の増え方が小さいことを知らずに削ってしまう人が多いことです。見積もり画面で対物を無制限と有限で1回ずつ計算してみて、その差額を見てから判断してください。ほとんどのケースで、無制限を選ばない理由が見つからないはずです。
保険とバイクの比較で迷ったときの結論とまとめ
ここまで見てきたとおり、自賠責は国が決めた基準料率なのでどこで入っても金額は同じで、比較の対象になるのは契約する月数だけです。250cc以下で満期が近いなら、2026年11月1日より前に始期を置けるかどうかを確認するのが、いま真っ先にやるべき作業になります。任意保険のほうは、対物無制限・人身傷害3,000万円・弁護士費用特約ありという条件を紙に書き出して、チューリッヒ・アクサダイレクト・三井ダイレクト損保の3社で同じ条件の見積もりを取ってみてください。30分ほどで、自分のバイクと乗り方に対する適正価格が見えてきます。そのうえでレッカー距離と割引額を見比べれば、比較サイトを何周するより早く結論が出ます。
※本記事の保険料・補償内容は各社の公式サイトおよび損害保険料率算出機構の公表資料に基づいています。商品改定や料率改定が行われる場合があるため、契約前に必ず損害保険料率算出機構や国土交通省の自賠責保険案内、各保険会社の公式サイトで最新情報をご確認ください。

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