171万9000円。トライアンフ ボンネビルT120の価格表を見て、まず手が止まる金額です。国産のネオクラシックなら同じ予算で1台買ってヘルメットとジャケットまで揃うのに、なぜこのバイクにその値段を出す人が絶えないのか。カタログの数字だけを追っても答えは出ません。
結論から言うと、T120の価値は「80PS」というピーク出力ではなく、3500rpmで105Nmを出す並列2気筒の性格と、2026年モデルで加わったIMU連動の電子制御にあります。車両重量233kgは軽くありません。それでもシート高790mmという数字が、この重さをかなりの部分で帳消しにしてくれます。
この記事では、2026年モデルのスペックを公式情報ベースで整理したうえで、乗り出し価格・年間維持費・兄弟車やライバルとの比較まで踏み込みます。買ったあとで「そこは知らなかった」となりやすいポイントも、あえて先に並べておきます。
・2026年型T120は税込171万9000円、1200cc並列2気筒で80PS/105Nm
・車両重量233kgに対しシート高790mm。数字ほど「大きく感じない」設計
・IMU連動コーナリングABS・クルーズコントロール・USB-Cが標準装備に
・年間維持費は税金・保険・点検・消耗品を含めて10万円台が現実的なライン
ボンネビルt120とはどんなバイク?1200ccツインが刻む鼓動の正体

ボンネビルという名前は1959年から続くトライアンフの看板です。その中でT120は、900ccのT100より排気量も装備も上に位置する「ボンネビルの本流」にあたるモデル。2026年モデルは2025年12月から国内の正規販売店で順次販売が始まっています。
80PSより、3500rpmで105Nmが出ることのほうが効く
T120のエンジンは1200cc、水冷4ストローク並列2気筒OHC4バルブ。最高出力は58.8kW(80PS)/6550rpm、最大トルクは105Nm(10.7kgm)/3500rpmです。ボア×ストロークは97.6×80mmのロングストローク寄りで、圧縮比は10。
注目すべきは最大トルクの発生回転数です。3500rpmは、市街地を4速で流しているときの常用域そのもの。つまり「回さないと進まない」場面がほとんどありません。信号が青になってスロットルを開けた瞬間から押し出される感覚があるのは、この特性によるものです。同クラスのスポーツネイキッドが8000rpm付近でピークを迎えるのとは、設計思想がまるで違います。
街乗りやワインディングを流す使い方なら、シフト操作の回数そのものが減ります。一方で、高回転域まで引っ張って加速の伸びを味わいたいタイプの人には物足りなく感じられる領域でもあります。6速に入れて100km/hで巡航するときの回転数は低く保たれ、270度クランク特有の不等間隔な鼓動が体に伝わってきます。

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車両重量233kgという数字をどう受け止めるか
T120の車両重量は233kg。全長2170mm×全幅780mm×全高1100mm、軸距1450mmという寸法です。大型ネイキッドとしては明確に重い部類で、たとえばヤマハXSR900の196kgと比べると37kgの差があります。
ただし、重量の感じ方は数字だけで決まりません。T120は重心が低く、エンジンをフレームの下側に抱え込むレイアウトのため、またがってしまえば重さの体感は数値ほどではありません。問題になるのは「またがっていないとき」です。押し引き、車庫入れ、坂道での取り回しでは233kgが正直に効いてきます。
体格に自信がない人ほど、購入前に販売店で実際に押し引きさせてもらうことをおすすめします。センタースタンドの有無、駐輪場所の路面勾配、後退させる距離。この3つが揃って初めて「自分に扱えるか」が判断できます。
シート高790mmは大型二輪の中では低い部類
シート高は790mm。大型二輪の平均が800〜830mm前後であることを考えると、T120は明らかに低い設定です。カワサキW800も同じ790mmで、この2台がクラシック系の足つき基準になっています。
790mmという数字が効くのは、信号待ちと取り回しの局面です。両足のかかとまで接地する人であれば、233kgの車重を「足で支える」場面での不安が大幅に減ります。逆に片足のつま先しか届かない状態だと、重量級であることが一気に牙をむきます。
注意したいのは、シート高の数値は「シート最前部の高さ」であって、実際の足つきはシート幅とタンク後端の絞り込みにも左右される点です。同じ790mmでもシートが幅広なら股が開き、足が斜めにしか下りません。カタログ値だけで判断せず、必ずまたがって確認してください。
| 車名 | Bonneville T120(2026年モデル) |
| メーカー | Triumph(トライアンフ) |
| 価格 | 1,719,000円(税込・メーカー希望小売価格) |
| エンジン | 水冷4ストローク並列2気筒OHC4バルブ/1200cc |
| 最高出力 | 58.8kW(80PS)/6550rpm |
| 最大トルク | 105Nm(10.7kgm)/3500rpm |
| 重量・シート高 | 車両重量233kg/シート高790mm |
| タンク容量 | 14.5L |
| 主な装備 | 前後ブレンボ製キャリパー/前後KYB製サスペンション/コーナリングABS/クルーズコントロール標準装備 |
2026年モデルで何が変わったのか
2026年モデルの変更点は、外装のリフレッシュと電子制御の刷新の2本立てです。装備面では、傾斜感応型のオプティマイズドコーナリングABSとトラクションコントロールが新採用され、ロード/レインの走行モード選択が可能になりました。加えてクルーズコントロールが標準装備化、フルLEDライト(シグネチャーDRL付き)とUSB-C電源ソケットも追加されています。
外装では手仕上げのペイントとコーチライン、サイドパネルにシルバーまたはゴールドの縁取りを施した円形ロゴグラフィックが採用されました。T120のカラーはエーゲアンブルー×ニューイングランドホワイト、アルミニウムシルバー×クランベリーレッド、ストーングレーの3種類。ブラック仕様はジェットブラックとマットシルバーアイス×マットサファイアブラックの2色です。
エンジンの出力数値そのものは据え置きで、「速くなった」というより「安心して速度を保てるようになった」アップデートと理解するのが実態に近いでしょう。詳細はトライアンフ公式サイトのBonneville T120ページで確認できます。
171万9000円という価格の中身を分解する
価格の話は避けて通れません。T120の税込171万9000円は、国産クラシックと比べて明確に高い水準です。ただ「高い」で終わらせると判断を誤ります。何にお金がかかっているのかを分けて見ていきます。
T100との36万円差はどこに消えているのか
ボンネビルT100は税込135万9000円、T120は171万9000円。差額は36万円です。この差の中身は明快で、排気量が900ccから1200ccに、最高出力が65PS/7000rpmから80PS/6550rpmに、最大トルクが80Nm/3750rpmから105Nm/3500rpmに引き上げられています。
ハードウェア面でも差があります。T100のブレーキキャリパーはニッシン製、T120はブレンボ製。変速機はT100が5段、T120が6段です。クルーズコントロールもT100はオプション設定なのに対し、T120は標準装備。つまり36万円は「排気量アップ+足まわりの格上げ+装備の標準化」の合計と考えると納得しやすくなります。
逆に言えば、高速道路をあまり使わず、街乗りとワインディング中心で、5速でも不満がない人なら、T100の135万9000円は極めて合理的な選択です。36万円は決して小さな差ではなく、ヘルメットとジャケットとブーツを一式そろえてもお釣りが来る金額です。
乗り出し価格はいくらになるのか
車両本体171万9000円に加えて、新車登録には諸費用が乗ります。250cc超の自賠責保険料は36ヶ月で10,490円(本土・令和8年10月31日まで適用)、軽自動車税(種別割)は年額6,000円です。これに自動車重量税、登録手数料、納車整備費用が加わります。
販売店によって整備費用の設定は変わりますが、諸費用の合計はおおむね8万〜12万円程度をみておくと大きく外れません。つまり乗り出しで180万円前後。ここにETC車載器やUSB電源、ドライブレコーダーといった装備を追加すると、190万円台に届くケースもあります。
見積もりを取るときは「車両本体価格」ではなく「支払総額」で複数店を比べてください。車両価格が同じでも、納車整備費用と登録代行費用の設定で数万円の差が出ます。自賠責保険料の正確な額は自賠責保険料一覧で確認できます。
中古を狙うなら何年式が損をしないか
2026年7月時点の流通実例を見ると、2025年式で走行1,479kmの個体が158万8000円、2023年式で走行15,036kmが135万8000円、2018年式で走行4,672kmが129万8000円という価格帯です。新車171万9000円との差を考えると、1年落ち・低走行の個体は値落ちが緩やかであることがわかります。
ねらい目は2023年前後の水冷世代です。130万円台で1200ccのボンネビルが手に入る計算になります。ただし2026年モデルで追加されたIMU連動のコーナリングABSやクルーズコントロールは付きません。この装備差をどう評価するかが判断の分かれ目です。
中古を検討する際は、走行距離よりも定期点検の記録簿を優先して確認してください。トライアンフの定期点検サイクルは12ヶ月または16,000kmと長めの設定なので、記録が飛んでいる個体は整備履歴の空白がそのまま将来の出費になります。
意外と知られていないのですが、輸入車の商談では車両値引きを粘るより「下取り査定を先に固める」ほうが総額を下げやすい傾向があります。輸入ブランドの新車値引き幅は国産車より小さく設定されていることが多い一方、下取り価格には交渉の余地が残ります。買取専門店の査定額を先に取ってから販売店に持ち込むと、比較の基準ができて話が早く進みます。
街乗り・ツーリング・高速でどう表情を変えるか

T120の性格は、走る場所によってはっきり変わります。ここではシーンを4つに分けて、それぞれで何が武器になり、何が足かせになるかを整理します。
街乗り:低回転トルクは武器、渋滞は苦手
3500rpmで105Nmという特性は、市街地でそのまま恩恵になります。発進から2〜3速で流す領域が最も気持ちよく、シフトアップの頻度が減るため信号の多い道でも操作が煩雑になりません。トルクアシストクラッチによってクラッチレバーの操作も軽く、渋滞での左手の疲労は抑えられています。
一方で、水冷1200ccの発熱と233kgの車重は真夏の渋滞では正直にきついです。停止時間が長くなるほど熱と重さが両方効いてきます。すり抜けを想定した場合も、全幅780mmはミラーを含めるとそれなりの幅になります。
街乗り主体で選ぶなら、駐輪環境を先に決めておくことをおすすめします。狭い駐輪場に毎日入れる使い方だと、性能以前に取り回しがストレスになります。
ツーリング:14.5Lタンクで航続はおよそ290km
燃料タンク容量は14.5L。オーナーの給油記録を見ると、市街地中心で15km/L前後、ツーリングでの巡航中心なら20km/L前後という報告が多く見られます。20km/Lで計算すると満タンからの航続はおよそ290km、市街地寄りの15km/Lなら約215kmという計算になります。
この数字は、日帰りツーリングなら給油1回、1泊ツーリングでも給油2〜3回で回れる水準です。高速道路のサービスエリア間隔を考えても不安の少ない航続距離といえます。ただし峠を攻めるような走り方をすると燃費は落ちるので、残量計を過信せず200km走ったら給油する習慣にしておくと安心です。
積載については、純正・社外ともにサドルバッグやキャリアの選択肢が豊富に用意されています。クラシックスタイルを崩さないレザー調のサイドバッグを選ぶ人が多いのもボンネビル系の特徴です。

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高速道路:クルーズコントロール標準化が効く
2026年モデルでクルーズコントロールが標準装備になったことは、高速走行での価値を大きく変えました。1200ccの余裕あるトルクで100km/h巡航は低回転で収まり、右手を離せることで長距離での疲労が明確に減ります。
ただしT120はスクリーンを持たないネイキッドスタイルです。100km/hを超えたあたりから上半身に当たる風圧が効いてきて、防風対策なしで長時間走ると首と肩に負担がかかります。純正・社外のフライスクリーンやツーリングスクリーンを追加する人が多いのはこのためです。
タイヤはミシュラン・ロードクラシックを前後に装着し、フロント100/90-18、リア150/70R17というサイズ。18インチフロントは直進安定性に寄与する構成で、高速巡航での落ち着きにつながっています。
通勤・通学で毎日使えるか
結論として、屋根付きで平坦な駐輪スペースが確保できるなら十分に実用的です。低回転トルクと軽いクラッチ操作は毎日の通勤と相性が良く、USB-C電源ソケットの標準装備でスマホナビの運用も現実的になりました。
逆に、砂利敷きの駐輪場や勾配のあるスペースしか確保できない場合は、毎日の押し引きが負担になります。233kgという数字は、週末に数回動かすぶんには気にならなくても、往復で毎日となると話が変わります。
また、車両価格171万9000円のバイクを路上駐輪で通勤に使うのは盗難リスクの面で現実的ではありません。通勤利用を前提にするなら、駐輪環境と防犯対策の費用を購入計画に最初から織り込んでおくべきです。
ブレンボ・KYB・ミシュランという装備が意味するもの
カタログのブランド名の羅列は、読み飛ばされがちなところです。しかしT120の場合、この部分に価格の根拠がかなり含まれています。1つずつ意味を解きほぐしていきます。
前後ブレンボ製キャリパーが与えるコントロール性
T120は前後ともブレンボ製キャリパーを採用します。同じボンネビル系でもT100はニッシン製で、ここが価格差に直結している部分です。233kgの車体を止めるという用途を考えると、制動力の絶対値だけでなく、レバー入力に対する応答のリニアさが効いてきます。
クラシックスタイルのバイクは、見た目のために制動性能を妥協しているモデルも珍しくありません。T120がブレンボを選んでいるのは、1200ccの出力と車重に見合った減速性能を確保するためです。街乗りの低速域でカックンとしにくく、峠の下りでも握り込みやすい特性は、日常での安心感につながります。
注意点として、ブレーキパッドの交換費用は国産純正品より高くなる傾向があります。走行距離が伸びてきたときの消耗品コストは、購入前に販売店で目安を聞いておくと計画が立てやすくなります。
KYB製サスペンションとツインショックという選択
前後のサスペンションはKYB製で、フロントは41mm径のテレスコピックフォーク、リアはクラシックスタイルらしいツインショックです。キャスター25.5度、トレール105.2mmという設定は、直進安定性を確保しつつ低速での取り回しを両立させる方向のセッティングです。
ツインショックはモノショックに比べてストローク量やリンク機構の自由度で不利になりますが、ボンネビルというバイクにとっては様式そのもの。実用面でも、リアショックを社外品に交換して自分の体重に合わせるという定番のチューニングがしやすい構造です。
タンデム走行や積載が多い使い方では、リアのプリロード調整で車高と沈み込みを合わせておくと乗り味が大きく改善します。工具1本でできる調整なので、納車後に一度は触っておきたいポイントです。
ミシュラン・ロードクラシックという純正タイヤの狙い
前後にミシュラン・ロードクラシックを装着し、サイズはフロント100/90-18、リア150/70R17。クラシックなブロックパターンに見えるトレッドデザインでありながら、コンパウンドと構造は現代的な設計というのがこのタイヤの特徴です。
スポーツタイヤほどのグリップ性能は狙っていませんが、T120の80PSという出力に対しては十分な余裕があります。むしろ、雨天時の初期グリップとウォームアップの速さのほうが、日常での安心感には効いてきます。
タイヤ選択で気をつけたいのは、フロント18インチという構成です。17インチと比べて銘柄の選択肢が限られるため、交換時期に「好きな銘柄が18インチにない」という事態が起こり得ます。ロードクラシックのままリピートするか、18インチ対応の銘柄を事前に調べておくのが現実的です。
2026年モデルのコーナリングABSとトラクションコントロールはIMU(慣性計測装置)で車体の傾きを検知して制御します。ただしこれは物理法則を超える装置ではありません。冷えたタイヤ、濡れたマンホール、砂の浮いた路面では電子制御があっても滑ります。装備の有無にかかわらず、路面状況の見極めと余裕を持った速度が前提です。
買ってから気づきやすいデメリットと失敗パターン

ここからは、購入前に知っておいたほうがいい「うまくいかない側」の話です。T120は完成度の高いバイクですが、期待と実像がずれやすいポイントがいくつかあります。
失敗パターン①:勾配のある駐輪場で233kgを押し上げられなかった
よく聞くのが、マンションの駐輪場がスロープになっていて、バイクを後退させて出すときに233kgを支えきれなかったというケースです。またがっているときは重心の低さで軽く感じるのに、降りて押した瞬間に本来の重量が手に返ってきます。
原因は単純で、購入前の確認が「またがって足がつくか」だけで終わっていたことにあります。対策は、契約前に自宅の駐輪スペースで実際の動線を歩いてみること。何メートル後退させるか、勾配は何度か、路面は舗装か砂利か。この3点を確認するだけで、購入後のストレスは大きく変わります。
どうしても勾配がきつい環境なら、バイク用のスロープ板やセンタースタンドの追加を検討する手もあります。購入時の見積もりに数千円〜1万円台のアイテムを足すだけで、毎日の負担が変わることは珍しくありません。
純正マフラーの音は「思ったより静か」に感じる人が多い
270度クランクの並列2気筒という構成から、ドコドコとした低音を期待して購入する人は少なくありません。ただし現行の排出ガス・騒音規制に適合させた純正マフラーは、想像よりも大人しい音量に収まっています。
これは品質の問題ではなく、規制への適合の結果です。音を求めるなら社外スリップオンという選択肢がありますが、公道で使うなら政府認証(JMCA認証など)品を選ばないと車検で不適合になります。認証なしの製品は「レース専用」と明記されているケースがほとんどです。
費用感としては、スリップオンで数万円〜10万円台、取り付け工賃が別途1万円前後というのが一般的な相場です。音質は実際に販売店やイベントで聞いてから決めるのが失敗しない方法です。
足つきは790mmという数字だけでは決まらない
シート高790mmは大型二輪としては低い部類ですが、実際の足つきはシート幅とタンク形状に左右されます。T120のシートは前後方向にフラットで座り心地が良い反面、幅は細身ではありません。股が開くぶん、身長の数値から想像するより足が下りにくいと感じる人もいます。
対策としては、純正アクセサリーのローシートやアンコ抜き加工があります。加工の場合は数万円の費用がかかりますが、10〜20mm下げるだけで信号待ちの安心感は変わります。
注意点は、シートを下げるとポジションが窮屈になり、膝の曲がりがきつくなることです。長距離を走る予定があるなら、足つきと快適性のバランスをどこで取るかを販売店と相談して決めるのが確実です。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 3500rpmで105Nm。常用域が力強い シート高790mmで大型としては足つき良好 前後ブレンボ+KYBの上質な足まわり クルーズコントロール標準で高速が楽 2年間走行距離無制限の保証 | 車両重量233kgは押し引きで効く スクリーンなしで高速の風圧が大きい 純正マフラーの音量は控えめ ブレーキパッド等の消耗品が国産より高め フロント18インチはタイヤ銘柄が限られる |
年間の維持費は実際いくらかかるのか
車両価格だけを見て購入を決めると、あとから効いてくるのが維持費です。250cc超の大型二輪として必ずかかる費用と、T120固有の費用を分けて整理します。
税金6,000円と自賠責保険料は排気量にかかわらず一定
軽自動車税(種別割)は、二輪の小型自動車(250cc超)で年額6,000円です。毎年4月1日時点の所有者に課税され、その年の4月から翌年3月分までを前納する形になります。1200ccでも400ccでも金額は同じです。
自賠責保険料は、250cc超(本土)で12ヶ月7,010円、24ヶ月8,760円、36ヶ月10,490円(令和8年10月31日まで適用)。車検のタイミングに合わせて24ヶ月または25ヶ月で加入するのが一般的です。新車は初回車検が3年後、以降は2年ごとになります。
これに任意保険が加わります。年齢や等級で大きく変わるため一概には言えませんが、大型二輪の任意保険は年間3万〜8万円程度をみておくと計画が立てやすくなります。税額の詳細は横浜市の軽自動車税ページなど、お住まいの自治体の公式情報で確認できます。
車検費用はどこに出すかで倍近く変わる
バイクの車検費用の相場は、ディーラー依頼で6万〜10万円、量販店で4万〜7万円、ユーザー車検なら2万円台からとされています。輸入車の場合、部品供給と診断機の関係で正規ディーラーに出す人が多く、その場合は上限に近い金額を想定しておくのが現実的です。
トライアンフの24ヶ月点検の費用は42,900円という例が確認できます。これに自賠責保険料8,760円、重量税、印紙代が加わり、消耗品の交換があればさらに上乗せされます。2年に1回の出費として10万円前後を積み立てておくと慌てずに済みます。
なお、新車には2年間・走行距離無制限の保証が付き、定期点検は12ヶ月または16,000kmのサイクルです。この保証期間内は正規ディーラーでの点検履歴が保証適用の前提になるため、安さを優先して他店に出すと保証面で不利になるケースがあります。
失敗パターン②:タイヤ代を国産感覚で見積もって予算が崩れた
もう1つよくあるのが、消耗品の費用を国産バイクの感覚で見積もってしまうケースです。T120のタイヤはフロント100/90-18、リア150/70R17。18インチフロントは流通量が17インチほど多くないため、同グレードでも国産車向けサイズより単価が高くなりやすい傾向があります。
原因は、購入時に「車両価格+税金+保険」までしか計算していなかったことです。対策はシンプルで、契約前に販売店へタイヤ前後交換の工賃込み概算と、ブレーキパッド前後交換の概算を聞いておくこと。この2つを聞くだけで、年間予算のブレが大きく減ります。
走行距離が年間3,000km程度なら消耗品の出番は少なくて済みますが、年間1万km以上走るならタイヤは1〜2年で交換サイクルに入ります。走行距離の想定を先に決めてから維持費を計算するのが正しい順番です。
| 費目 | 金額の目安 | 支払いサイクル |
|---|---|---|
| 軽自動車税(種別割) | 6,000円 | 毎年 |
| 自賠責保険料(24ヶ月) | 8,760円 | 車検ごと |
| 車検(ディーラー) | 60,000〜100,000円 | 2年ごと |
| 24ヶ月点検 | 42,900円(例) | 2年ごと |
| 任意保険 | 30,000〜80,000円 | 毎年 |
| 燃料費(年5,000km・20km/L想定) | 約45,000円 | 毎年 |
兄弟車・ライバルと並べたときの立ち位置
T120を検討している人は、たいてい他の候補と迷っています。トライアンフ内の兄弟車と、国産のクラシック/ネオクラシックを並べて、それぞれの分かれ目を整理します。
T100・スクランブラー900との比較:900cc系で足りるか
900cc系のT100は135万9000円、スクランブラー900は145万9000円。T120の171万9000円と比べると、それぞれ36万円、26万円の差です。900cc系は65PS/80Nmで、5段変速。街乗りとワインディング中心なら不足を感じる場面は多くありません。
分かれ目は高速道路の使用頻度です。長距離を高速で移動する機会が多いなら、6段変速と105Nmのトルク、標準装備のクルーズコントロールを持つT120の優位は明確です。逆に下道中心なら、差額をウェアや装備に回したほうが満足度は高くなります。
スクランブラー900はアップマフラーとブロックパターン寄りのスタイリングで、フラットダートも視野に入れた性格。同じ900ccでもキャラクターが違うので、価格より先にスタイルで選ぶのが正解に近いモデルです。
スピードツイン1200との比較:クラシックかスポーツか
スピードツイン1200は1197ccの並列2気筒で105PS、シート高805mm、車両重量216kg、価格は184万9000円からとされています。T120と同じ1200ccの兄弟でありながら、性格ははっきり分かれます。
T120がスポークホイールとフロント18インチでクラシックな佇まいを守るのに対し、スピードツイン1200はキャストホイールと前傾のポジションでスポーツ寄り。17kg軽く、25PS高いという数値もその方向性を裏づけています。
選び方の基準は明快です。1959年から続くボンネビルの様式を纏いたいならT120、同じエンジン系譜で現代的なスポーツ性能を優先したいならスピードツイン1200。13万円の価格差は、この性格差の前ではあまり大きな問題になりません。
ボバー・スピードマスターとの比較:ポジションで選ぶ
ボンネビル ボバーとボンネビル スピードマスターはいずれも199万9000円から。2026年モデルでは燃料タンクが14Lに大型化し、新設計の軽量アルミリムが採用されました。どちらもT120より28万円高い価格設定です。
この2台はライディングポジションがT120と根本的に違います。ボバーはシングルシートと低いシート高でクルーザー寄り、スピードマスターはタンデムを前提にしたフォワードコントロール。T120のようなオーソドックスなネイキッドポジションを求める人には、そもそも競合になりません。
逆に「足を前に投げ出して流したい」「クルーザーらしい姿勢が好き」という人にとっては、T120は選択肢から外れます。28万円の差は装備の差というより、ポジションとスタイルの選択料と考えるのが実態に近いでしょう。
国産クラシックとの価格差:W800・XSR900と並べる
カワサキW800(2026年モデル)は税込130万9000円。空冷773cc並列2気筒で52PS/6500rpm、62N・m/4800rpm、シート高790mm、車両重量226kg、タンク15Lです。ヤマハXSR900は税込132万円(セラミックアイボリーは135万3000円)、888ccの並列3気筒でシート高815mm、車両重量196kg。
T120との価格差はW800で41万円、XSR900で39万9000円。この差額に対して何が得られるかというと、排気量400cc超のアドバンテージ、ブレンボとKYBの足まわり、IMU連動の電子制御、そして2年間走行距離無制限の保証です。
ただし、空冷エンジンの造形美と価格の手頃さを重視するならW800、3気筒の吹け上がりと196kgの軽さを求めるならXSR900という判断も十分に合理的です。W800の詳細はカワサキ公式サイト、XSR900はヤマハ発動機公式サイトで確認できます。

「ネオクラシックってよく聞くけど、旧車とは何が違うの?」「ネオレトロとどっちが正しい呼び方?」——バイク選びを始めると必ず出てくるのが、このネオクラシックという…
| 比較項目 | Bonneville T120 | Bonneville T100 | カワサキ W800 | ヤマハ XSR900 |
|---|---|---|---|---|
| 価格(税込) | 1,719,000円 | 1,359,000円 | 1,309,000円 | 1,320,000円 |
| エンジン | 水冷1200cc 並列2気筒 | 900cc 並列2気筒 | 空冷773cc 並列2気筒 | 888cc 並列3気筒 |
| 最高出力 | 80PS/6550rpm | 65PS/7000rpm | 52PS/6500rpm | 公式サイトで要確認 |
| 最大トルク | 105Nm/3500rpm | 80Nm/3750rpm | 62N・m/4800rpm | 公式サイトで要確認 |
| シート高 | 790mm | 公式サイトで要確認 | 790mm | 815mm |
| 車両重量 | 233kg | 公式サイトで要確認 | 226kg | 196kg |
| タンク容量 | 14.5L | 公式サイトで要確認 | 15L | 公式サイトで要確認 |
※価格・スペックは各メーカー公式サイトの2026年モデル情報をもとにバイク乗りのミーティングが比較・集計(2026年7月時点)
まとめ:ボンネビルt120は「数字で選ぶバイク」ではない
ボンネビルT120は、スペック表の数字で勝負するバイクではありません。80PSという出力は同価格帯のスポーツモデルに及ばず、233kgという重量は軽量級の車種に大きく劣ります。それでもこのバイクが選ばれ続けるのは、3500rpmで105Nmを絞り出す並列2気筒の質感と、1959年から続くボンネビルという様式に対して、171万9000円という金額に納得できる人がいるからです。
2026年モデルは、その「様式」を守りながら中身を現代化しました。IMU連動のコーナリングABS、標準装備化されたクルーズコントロール、USB-C電源ソケット。見た目は変えずに、安心して長距離を走れる方向へ振っています。この方向性は、T120を週末の相棒として長く乗りたい人にとって素直に嬉しいアップデートです。
一方で、この記事で挙げたデメリットは購入後に消えるものではありません。233kgの取り回し、スクリーンなしの風圧、控えめな純正マフラーの音量、国産より高めの消耗品コスト。これらを「許容できる」と判断できるかどうかが、満足度を分ける最大の要素です。
最初の一歩としておすすめしたいのは、正規販売店で実車にまたがり、エンジンを掛けた状態で押し引きさせてもらうことです。カタログの790mmと233kgが、自分の体でどう感じられるか。それを確認してから見積もりを取れば、判断を誤ることはまずありません。あわせて自宅の駐輪スペースの勾配と路面、そして年間走行距離の想定を先に決めておけば、維持費の計算まで一気に現実的になります。
候補が絞りきれないときは、T100との36万円差、スピードツイン1200との13万円差、W800との41万円差を「何に使うか」で考えてみてください。バイクは買った瞬間より、そのあと何年乗るかで価値が決まります。
※価格・スペックは2026年7月時点の各メーカー公式情報にもとづきます。最新情報は公式サイトでご確認ください。

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